「XNA ゲームクリエーターコンテスト」優秀賞の佐川氏にインタビュー

10月9日(木)に発表された「マイクロソフト XNA ゲームクリエイター コンテスト 2008」で優秀賞を受賞したこびとこびとスタジオの佐川氏にインタビューしました。

こびとスタジオさんはマイクロソフトの「Xbox360 ファンサイトプログラム」のXNAカテゴリに所属しています。以前からお付き合いがあったため、今回インタビューも快く受けていただきました。本当にありがとうございます。

インタビュー内容は長くなるので追記で

――マイクロソフト XNA ゲーム クリエーター コンテスト 2008 優秀賞受賞おめでとうございます。

佐川氏(以下、佐川) ありがとうございます。

――今回応募期間が短かったと聞いてましたが、短期間の開発で苦労した点などありましたら教えてください?

佐川 全てと言えば全てなのですが(w特にグラフィックリソースの面ではメンバー全員苦労しました。時間が決められているのと時期的にコミケの時期とぶつかっちゃって実質の作業時間が2週間くらいという制限の中、やれることの模索と本当に2週間くらいでいけるのか?という見極めが難しかったです。

―それはかなりハードスケジュールでしたね。でも、その限られた中で製作したものが受賞できたというのは喜びも格別だったのでは?

佐川 えぇ、嬉しかったのは勿論なのですが、同時に意外でもありました。

――そこは見極めが正しく出来たということではないでしょうか?

佐川 結果的には上手くいきました。ただ、作業的には僕もデザイン作業の一部を手伝って強引に形にしていった部分もあったのでやはり応募まで到達出来るか否か最後までスレスレのラインは渡っていましたね(w

――発表会場にはXNAで製作されたソフトが多く展示されていましたが、展示作品を実際にプレイした感想を教えてください。

佐川 発表会場にあったソフトですがやはり最優秀賞になったゲームは総合的によくまとまっていましたね。直感で見て、あぁこれが最優秀賞なんだなって思いました。あと、あの最優秀賞のゲームは凄く芸が細かくてポーズかけないで長い時間考えていたりするとプレイヤーキャラが泣き出しちゃう演出が入っていたのですが、ああいう小さい事でもインパクトって大きいのでそこはもうちょっと余裕を持って何かそういう遊びは入れたかったなーって思いましたね。

――なるほど、そこは次回以降の課題ということでしょうか?これは冬コミあたりで見れるんでしょうかw

佐川 そこは課題とすべきかどうかは難しいところですね(w
と、言うのも、こびとスタジオという名前の由来にも関わってくるのですが、あくまでも小規模・小リソースで出来るだけ面白く、というサークル全体としてのコンセプトがあるのでそういう細かい演出も大事なのですが、もうちょっと違うアプローチを模索する方向へ向けていこうとは思っています。
ちなみにそのアプローチの一つの形として、途中段階のものがひょっとしたら冬コミに合わせられるかも?という状態であったりはします

――それは楽しみですね、ぜひ見せていただきたいです。

佐川 えぇ。近々、協力していただくことになるかもです(w

――手伝えることがあればいくらでも協力しますよw

佐川 その時は是非、お願いします。具体的に何か?というのは、まぁ、お楽しみというところで。

――楽しみにして待っています。さて、今回のコンテスト受賞作品を見ても専門学生の製作したものが数多く受賞してますが、XNAの国内での活動はまだ教育機関との提携くらいしか動きがないと思いますが、今後の展開やMSに望むことは?

佐川 まず、今週のNXEアップデートで海外でコミュニティゲームスが正式に開始されることと、来年の春に国内でサービスインするという所で展開としては一つの区切りにはなると思います。展開としては、まず正式サービスインに辿り着けた事そのものが大きな意味を成すのでその部分ではそこからどうなるか?はある程度流動的に見ていってもいいのかとは思っています。ただ、国内ではXNAそのもののアピールに対してどうしても教育機関に集中しちゃっているので、もうちょっと一般開発者向けにもアピールしていって欲しいですね。特に、webでの情報が海外の公式と比べてしまうと圧倒的な差があるので、せめてサンプルコードの翻訳や技術解説だけでも翻訳がきっちりされるとだいぶ違ってくるとは思います。実際、XNA1.0の時代、技術的に煮詰まった時、海外のフォーラムから情報を拾って対処したこともあるので(w

――私もサイトを始めてみてそのあたりは痛感しました。サイト記事の大半がひにけにXNAの転載になってしまいましたしw

佐川 えぇ。その辺はMSさんの課題かもしれませんね。今のところ日本語での情報源がそこしかないので。ただ、その問題はMSさんも認識はしていると思うので今後の経過を見守って行きたいところではあります。

――うーん、こちらで考えた次の質問が、Windows用ゲームも製作できるXNAですが、日本での普及の低さはどこに原因があると思いますが?また、日本ではクリエイターズクラブが未だに無いことに関してどう思いますか?だったんですが、答えが出てしまいましたねw

佐川 Windowsについてはちょっと思うところがあるので答えますね(w
Windows用での普及の低さというのは、
・可能な限り最適化をするため、マネージドコードで動くXNAでは都合が悪いというイメージが強い
・XNAのAPIのみに縛ると細かい処理がしづらい。あるいは出来ない
・これまで作ってきた人にとっては構築した環境を崩せない
・Windowsで動かすことを中心に考えると結局、慣れ親しんだDirectXを使っていた方が良い
という要因がそれぞれ交錯して、それが普及に至らない要因になっていると個人的には見ています。

――なるほど、確かに今まで慣れ親しんだものを崩すというのは手を出しにくくしてますね。ただ、家庭用ゲーム機のゲームが作れるというのは製作者として魅力的ではないのでしょうか?

佐川 僕個人としては魅力的なのですが、それと同時に開発において自由度を求める部分も多いのでそこの壁が魅力さを打ち消しちゃっているのではないか?と思っていたりします。あと、Xbox360実機でのマネージドコードの挙動の違いでパフォーマンスを出すのに工夫をしないといけないという部分も要因かもしれませんね。

――なるほど、開発に自由度を求める部分があるとのことですが、XNAで製作するのは制限が多いのでしょうか?

佐川 えぇ。やはりいくつかポイントとなる点はあります。まずはAPIですが、Xbox360での動作を見込んだ場合、.NET Frameworkで使えるAPIは.NET Compact Frameworkで使える物という縛りが出てきます。とは言っても、この部分で困ったことは実は無くそれほど大きな問題ではないのですが、Xbox360にはファイルシステムという概念が無い、という部分で独自のファイルフォーマットを扱うのにかなり苦労するという部分がかなり大きな制限となっているように思えます。ただ、制限をなくすと言うことはセキュリティを突きやすくなるということでもあるので、それが原因でネイティブコードを何の細工も無しに動かせてしまうとかなりまずいことに事が傾いていくのは間違いないので納得出来る部分ではありますね。

――ですね、家庭用ゲーム機という時点で制限があるのは仕方ないことだと思います。ただ、Xbox360にゲームを転送するのに クリエイターズクラブ に入る必要がありますが、支払う金額に対して受けられる恩恵が少ない気がします。話が戻ってしまいますが、クリエイターズクラブの日本語サイトを用意する程度はして欲しいと思います。

佐川 その辺は難しい判断ですね。確かに、年間1万円のライセンスというのは個人開発の観点から過去の事例(ワンダースワン用個人開発キットやファミリーベーシック)と比べても圧倒的に高くはなっちゃっていますが、通常の本体から起動できる余地があると言うことを考えると正式に開発契約を結ぶのとは圧倒的に値段が変わってくるので、そういう視点から見ると安いという結論になっちゃうのですよね。あと、日本語化に関しては、どちらかと言えば米国のXNA担当部門が日本語も対応枠に含めて貰わないことには実現しなさそうですね。これはMSKKさんがどうこうではなくて、XNAの開発として米国が主導になっていて日本からはXNAの中枢はいじらないという開発ルールはひいていると思うので、米国本隊の方で多言語対応を視野に入れて貰うしかないという考え方ですね。世の中のOSやソフトウェアも最近では、多言語対応という要素も入ってきているので希望という意味も含め、いずれ米国側のクリエイターズクラブのページを見たら日本語ページが出てくる、となるようになって欲しいですね。

――そのためにも日本のXNA担当者を突っつかないと駄目ですねw

佐川 そこは実際にクリエイターズクラブで運用されているものを使いながらブログ上であれこれ言っていきたいですね(w

――使っている人からの意見は大きいですからね。でも、教育機関もMSに日本語にしてくれ と要望を出してないんでしょうかね?

佐川 もちろんそういう声は生徒さんから挙がっているとは思いますが、あえて英語を読ませているという事も考えられますね。実際の開発現場では日本語ドキュメントは存在しなくて、英語ドキュメントしかないといったケースはよくある話なので。

――開発者として英語が読めなくてどうするってことですかw

佐川 そういうことです。僕も英語での会話というのは無理ですが、技術資料をある程度、目を通すくらいはしていますし、実際、XNAでの開発でも英語資料に目を通すことがほとんどです。それに、今はwebでの翻訳も使える時代なので、分からないところはそれを通したりしながらやっていけば日本語ドキュメントが無い状況下でも割とどうにかなっちゃうものですよ。最終的には実際に手を動かして色々と試さないとわからない局面もありますし。

――確かにやってみると何とかなることは多いですね。ただ、英語ってだけで尻込みしてしまう部分もあるんですよねw

佐川 そこはどちらかというと、開発に関わる部分としての全体のテーマとなるかもしれませんね。

――ですね。さて、話を変えて次の質問です。11/19より海外ではコミュニティーゲームも始まりますが、現状のまま2009年に日本で始まったとして盛り上がると思いますか?

佐川 正直なところ、日本の制作者が作ったゲームだけで見ると、最初は厳しい局面が続いてしまうのではないかな?とは思っています。やはり学生以外でXNAに手を出している人の絶対的数の不足、というのが出てしまうのではないかな?というところですね。

――絶対数の不足は私も同意です。学生が積極的に コミュニティーゲーム へ投稿するかと考えると疑問があるので、初期はこびとスタジオさんしか投稿する人がいないかもしれませんねw

佐川 さすがに我々だけと言うことは無いと思いますが、投稿する人は良くて5,6人(団体)という状況に始めのうちはなってしまうかもしれませんね。ただ、こびとスタジオとして、結成当時からダウンロードして遊んでもらえるサービスが始まった時点でどれくらいのソフトが用意できているか?というスタンスで活動してきたので、順に地道にアップしながらコミュニティゲームスというフィールドを盛り上げていくしかないかな?とは思っています。

――参加者で盛り上げていくのが コミュニティーゲーム の趣旨の一つだと思うので期待していますw

佐川 がんばります(w

――先ほどから何度かXNAにはある程度の敷居の高さがあるという話がでましたが、12月12日にエンターブレインさんからXNAのプロジェクト出力ができる アクションゲームツクール が発売されます。以前からツクールシリーズを使って製作したゲームの配布をしている同人サークルがありますが、そのあたりからXNAに参加 というのは考えられるでしょうか?

佐川 最初のうちはツクールでの制作は高校生あたりを中心になっていく気はしています。RPGツクールでゲームを作っている同人サークルさんはあるにはあるのですが、今度のはアクションゲームツクールとなるので、RPGツクールで活動していた所に対して需要があるのか?という部分が見えてこないのと、同人サークルはあくまでも各自自由に作るというスタイルなのでそこからXNAに流れるか?という部分では予測のしようが無いんですよね。

――確かに、同人サークルだとRPG,格闘ゲームツクールを使っているところが主流ですね。(アクションゲームツクールは)発売が12月なので、(製作されたゲームが)コミケで配布されるとしても来年の夏以降でしょうか?

佐川 そこは逆に冬コミでの登場を期待しちゃいますね。2年前にさかのぼると、XNA1.0が12月にリリースされてから冬コミに滑り込ませるという非常識なことはやったので(w

――前例がある以上できるということですかw

佐川 ものすごく簡単な物であれば可能ではあると思いますよ。

――では、どこか出してくれることを期待しましょうw

佐川 そうですね(w

――ついでなので伺いますが、こびとスタジオとしてアクションゲームツクール を使う予定はありますか?

佐川 これははっきりと明言できますがありません。

――では、最後の質問です。コミケの話がでましたが、XNAで製作したゲームの配布に関して周囲の反応はどうでしょうか?

佐川 コミケに限らずイベントに参加するときはXbox360実機動作の映像を持っていっているのですが、やはりXbox360実機で動作しているという点で目を引く事は多いですね。ただ、Windows版を含めた動作環境・必要コンポーネントの敷居の高さというのがあってやっていることは面白いけど、なかなか遊ぶ人が付いて来づらい状況でもありもどかしい状態が続いていたのも事実でした。ただ、来年からはコミュニティゲームスも動き出すので、そういうもどかしい状態は次の冬コミが最後には出来るのではないかな?とは思っています。

――Windows版の配布も XNA GS 3.0 になって楽になったということなので、来年は取り巻く環境が良くなりますね。

佐川 えぇ。そうですね。

――本日は長時間ありがとうございました。

佐川 ありがとうございました。

――あ、最後にもう一つ、某ニュースサイトで職業医者と紹介されたときの気分がどうでしたか?w

佐川 あれは衝撃的でした。いつ転職したっけ?という感じで。

――これで本当におしまいですwどうもありがとうございました。

佐川 (w、ありがとうございました。


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